2014.11.19

高倉健とローマ (更新)

ローマ・ヴェネト通りの近くにジャスミンというチャイニーズレストランがありました。
店内にはオーナーと高倉健が並んでいる二人の写真がかかっていました。
しかも高倉健のサイン入りで、「どうしたの?」って尋ねたら
ローマに来た時には必ず寄ってくれる。
一緒に写真を撮ってくれて、次に来た時にはサインをした写真を額に入れて
持ってきてくれたんだと自慢話をしていました。

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このイラストは福山小夜作ですが、上記のチャイニーズレストランのオーナーから
いただきました。オーナーが高倉健から直接いただいたそうです。
もしかしたら高倉健さんの指紋がついているかも。

私は高倉健が好きで網走番外地などの任侠映画から最後の作品「あなたへ」まで
大半の作品は見ています。敬愛する俳優です。
寡黙だけど、とっても温かい、不条理と闘う静かな熱情が好きでした。

高倉健

下記、日経新聞に掲載された高倉健の記事の抜粋です。

絶対に負けない
(3.11の震災に直面し)
それまで信じていたものが足元から崩れ、暗闇に突き落とされたような想い。
終戦の時に似た絶望と寂寥が、私の胸をおおっていたのです。
 2010年の秋にオファーを受けた「あなたへ」の出演。
すでに具体的な動きが、始まっていました。しかし、俳優に何ができるというのだろう?
 自分の中に生まれた問いかけが、暗雲のように体中に広がっていきました。
....そんな弱りかけた気持ちに、ビシッとムチを入れてくれたものがあります。
それは、雑誌に掲載されていた一枚の写真でした。
イタリアにお住まいの作家の塩野七生さんが、現地の週刊誌に
載っていたと紹介している写真でした。

少年の写真


気仙沼の被災地のがれきの中を歩く少年の写真を「あなたへ」の台本裏表紙に貼りつけた 
気仙沼の被災地のがれきの中を歩く少年は、避難所で支給されたものでしょうか?
袖丈の余るジャンパーにピンク色の長靴をはいています。両手には一本ずつ、
焼酎の大型プラスチックボトルを握っています。彼は、給水所で水をもらった帰りなのです。
その水を待っているのは幼い妹でしょうか?
 年老いた祖父母なのでしょうか?
 私の目をくぎ付けにしたのは、うつむき加減の少年のキリリと結ばれた口元でした。
左足を一歩踏み出した少年は、全身で私に訴えかけてきます。

 「負けない。絶対に負けない…」

 私は、その少年の写真をB5版のサイズにしてもらいました。映画の台本の大きさです。
「あなたへ」の台本の裏表紙にその写真を貼りつけた時、胸の奥からほとばしった熱情。
クランクインは、数日後に迫っていました。
(撮影中、毎日、この写真を見てたそうです)

(11月20日付)東京新聞社説より~抜粋

銀幕で見る高倉健さんは、いつも寡黙で不器用で、でも愚直に筋を通し
心の奥底に優しさを秘めていた。わたしたちは、
時に見失いそうになる日本人らしさを銀幕の健さんに見ていたのだろう。

わたしたちは、ともすれば時代の流れの中で見失いがちな日本人らしい倫理観、
美徳を思い出すため、銀幕の健さんに夢中になったのかもしれない。
為政者が日本の美徳、道徳を持ち出すと、時に、うさんくささや危うさが付きまとうが、
健さんに見る日本人らしさには、皆が率直に共鳴できたのである。
世の中がギスギスしているときには、健さんの真っすぐさを、
また、思い出そうではないか。日本人らしさを見失ったら、
健さんの背中が泣くにちがいない。

本日22/Novの毎日新聞より
中国の著名な男性俳優、孫淳(そん・じゅん)さんと
男性作家の王斌(おう・ひん)さんの連名による花束が贈られ
「死去の報を聞き、涙が流れます。私たちの世代は、あなたの影響を受けて成長しました。
出演していた映画は私たちの人生の一部分です。またいつか天国でお会いできると思います
その時まで、私たちはあなたの高貴な精神の追随者です」と
書かれたメッセージも添えられていた。

多少ともローマと縁があってよかったです。
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